「浪曲セントルイス・ブルース」川田義雄
今回もまた、川田義雄さん関連のSP盤を紹介します。その名も「浪曲セントルイス・ブルース」です。
管理人ホシガメの手持ちSP盤は、残念ながら入手するまでの間に、粗雑に扱われてきた個体のようで、だいぶ盤面が痛んでおりますが……。

実は、このSP盤の「浪曲セントルイス・ブルース」には、ドラマティッ
レコード発行情報
タイトル:浪曲セントルイス・ブルース
編曲:平 茂夫
歌手・実演家:川田 義雄
製作者(レーベル):ビクター
リリース年月日:昭和14年1939年12月 新譜
商品番号:J-54656
その他(ジャンルなど):かはッた浪曲
ところでオリジナルは?
そもそも、オリジナルのセントルイス・ブルースは、「ブルースの父
W.C.ハンディは、アメリカ南部アラバマ州フローレンス生まれ
父との衝突・楽団演奏・黒人差別・放浪生活……と紆余曲折あって
その後、アメリカのみならず世界各国のアーティストに演奏されるようになり、ジャズのスタンダードナンバーになって行ったことは、ご存知のとおりだと思います。
太平洋戦争最大規模の激戦地にて
戦前の日本において、川田義雄さんが日本語の歌詞を乗せた「
その後、日本は太平洋戦争に突入してしまうのですが、太平洋戦争末期の昭和20年(1945年2月)には、小笠原諸島の南端近くにある
そして、日本兵の遺体と遺品がある防空壕の中に、一枚のレコードがあったそ
誰の持ち物だったのかは不明ですが、それは日本語で歌われた「セ
もちろん戦時中においては、敵性音楽であるアメリカの歌は禁止さ
レコードの行方……
このレコードは、70歳の時に事故で失明した「ハンディ」の元に届けられ、生涯の宝物となる。 「ハンディ」は、このレコードを聴くのが大好きで、聴きながら子供たちにこう語りかけたという。
「これは、敵も味方もなく同じ歌が聴かれたことを物語るかけがえのない一枚なのだ。」
引用:https://oyajijazz.exblog.jp/19174676/
感動的な話なのはもちろんですが、もうひとつ管理人ホシガメが思ったのは……。
オリジナルの作者であるW.C.ハンディにとって「生涯の宝」であったとしても、聞くに値する音楽的なクオリティがなければ、大切にしまわれたままになるはず。
「このレコードを聴くのが大好き……」と伝聞されているということは、川田義雄さんによる「浪曲セントルイス・ブルース」は、作者にとっても十分に鑑賞に堪える高いレベルと思われたのだろうと、あらためて感心させられるということです。