COLUMBIA No.116 コロムビア卓上型蓄音機のレストア

2019年7月15日

ハイブリット電蓄で「SP録音ソースの楽ちん再生」を楽しむ今日この頃なのですが……、やはり実物のSP盤をトレースして奏でられる生音には独特のリアリティと満足感がありますので、本来の蓄音機再生において不満の無いメンテナンスされた機体は必要なものです。

管理人ホシガメは、主に1930年前後のコロムビア機体をターゲットとして蒐集にあたっております。その理由は、最初に入手したポータブル機メーカーでもあり、機構のシンプルさによりメンテナンスがしやすく、筐体デザインが好みであることです。

特に金属製2分割リエントラントホーンの魅力を再認識し、最近たて続けに入手しなおしている所です。(以前にNo.115を所有していましたが手放してしまったので、改めてNo.115を入手しNo.114とNo.116も最近入手)

今回はNo.116のレストアに取り組みましたので、その経緯を記事にしてみます。

一応、動作機体とのことで入手したのですが、例にもれずいろいろと不具合がありました。まぁ、製造から80年以上経過してますからねぇw。

機械のメンテナンス

機械は75型2丁ゼンマイで、トルクは十分あり問題なかったのですが、ガバナーが偏芯しているのか?低速回転になると重錘同士がカタカタ接触するノイズがでます。また、スピンドルのギアに歪みがあるのか?ガバナーの調整時に通常より大きな抵抗を感じました。

とは言え、手持ちの各種予備パーツ(ジャンク個体の使える部分など)と交換調整することで、割と簡単に機械の調子を整えることができ、比較的静かで安定した回転が得られる状態になりました。

筐体のレストア

機械よりも問題があったのは本体の方です。グリルのサランネットは下部に少し破れがありますが、純正の花柄もはっきり残っており、許容範囲の状態でした。また上蓋内側のデカールも破れなく、コロムビアのメーカーロゴが綺麗な状態です。ところが……、以前のオーナーが雑な塗装をしたようで、刷毛目と泡立ち跡だらけのまばらなニス塗り跡が目立つ状態でした。

「こりゃ、使うたびに気になるだろうなぁ……」と言うことで、バラして塗装しなおすことにした次第です。

まずは金属パーツをすべて取り外しました。

因みに、上蓋開放時に支えるステー(画像の左端)はNo.114やNo.115と同様に、ごついストレート仕様のものです。どうやらNo.116の後期型ではステーが中折れ式のヒンジ型のものに変更され、型番表記も金属プレート銘板になる(たまにオークションなどで見かける)ようですが、やはりこの古風で頑丈なステーとデカールの方が趣があって好ましいように思います。

サンディング

バラした本体は、庭で平面部をサンダー掛けし、ベランダに持ち込んでから、細部を手作業でサンディングしていきます。

グリル部分は局面が多いので、サンディングが大変です……。

やすり残しが無いように、細部を確認しながら地道に作業します。

おおよそ塗装を剥がし終わり、削りかすなどをふき取って下準備完了。サランネット下部の破れを補修したい気もするのですが、かけはぎ的な技が必要そうなので今回は諦めてそのままとしました。

画像はありませんが、グリル内部下部にあるホーン口とサランネット枠を受ける木枠に複数の割れがありましたので、木工用ボンドを隙間に塗ってからクランプして補修しておきました。(筐体ビビりの原因になるかもしれないので念のため)

再塗装

いよいよ再塗装に着手します。「どうせ塗るなら」とNo.114の赤味がかった感じが気に入ってるので、オイルステインはマホガニーを購入しました。仕上げはセラックニスです。

ストロボて撮ったので分かりにいですが、結構オイルステインを重ね塗りしたので赤茶色に染まりました。この後わざとムラになるようにサンディングして、最終工程のセラックニス仕上げを行いました。

下手なので、反射の角度によっては平面部の刷毛跡が見えてしまいますね。丁寧に仕上げのサンディングをすれば目立たなくできるのでしょうが、入手時よりは余程マシに仕上がりましたのでもう十分です。使ってるうちに塗膜に細かい傷がついて目立たなくなるでしょう。

再組立てと微調整

各種パーツを取り付けて仮組してみました。組み立てに支障なく一安心。

回転スピード調整のためにガバナーのブレーキパッド延長にある金具ですが、これの高さ調整をしないと調整ダイアルの中心が78回転近くにならないので、ダイアルを高速側いっぱいに回した状態で、遊びが無い高さに金具を調整し固定し直します。

ゼンマイを半分程(50~60巻き)巻いて、ストロボスコープを使いながら回転スピードの具合を確認します。おおよそ調整ダイアルの中間(標準位置)で78回転になることが確認できました。

ゼンマイモーターの調子ですが、メンテナンスが簡単に仕上がった割には調子よく、巻き上げ数も2丁ゼンマイらしく110回程巻けますし、巻き上げノイズもほとんど無く、静かに安定して駆動する状態になってます。

グリルにサランネット部を組み付けて完成!

オイルステインを意図的にムラに残したのが、いい感じに仕上がって満足です。ただしセラックニスの艶が少しピカピカ過ぎかな……。まぁ、使ってるうちに擦れてマットな感じになっていくでしょう。

レストア完了後の全体像

正面グリルを少し見上げる位置から撮りました。

くぅ~、カッコイイ!

SP盤収納ラック兼蓄音機台に乗せ、見下ろす角度からの見た目です。

クランク側側面からの見た目です。

背面からの見た目です。

正対して左側面の見た目です。

光の当たり方や見る角度によって、様々に表情を変える筐体に生まれ変わりました。何だかんだで1週間程手間がかかりましたが、満足のいく仕上がりになりましたので苦労した甲斐がありました。

鳴らしてなんぼの蓄音機

見た目がよく仕上がっても、蓄音機はいい音で鳴ってこそです。

果たして試聴してみてどうなのか?

入手時に付いていたサウンドボックスは、もちろんNo.9なのですが……。

コロムビア純正の箱もあり、見た目も綺麗なNo.9でしたが、残念ながらガスケットが経年劣化で痩せており、シェル部分がカタカタ動いてビビってしまう状態でした。(これはいずれオーバーホールします)

今回は、No.115に付けてある程度のいいNo.9を拝借して試聴しました。

音鳴り良いけど、音量大きすぎ!w

No.115やNo.114で金属製リエントラントホーンの性能は承知してますので、「それなりに大きいボリュームで鳴るんだろう」とは思ってましたが、こりゃスゲーです。

No.115やNo.114のようにルーバー(シャッター)が無いので、音圧がもろに正面に噴き出すって感じでしょうか。とにかく音の塊がドドーっと出てくるのです。本体の大きさと箱鳴りのしやすさも影響しているのかもしれません。

ちょっと自室(12畳程度)で使うには、パワーあり過ぎかもしれないですが、暇見てちょこちょこチューニングしてみようとおもいます。鉄針を変えてみるか?竹針で鳴らすか?サウンドボックスを少し軽いらしいNo.15(手持ちはNo.9のみでNo.15は未入手ですが……)にしてみるか?いろいろ工夫の余地はありそうです。

それにしても、同じホーンを使ってても筐体の違いでこれほどの違いが出るとは、全く想定の範囲外で驚きました。

蓄音機の世界は奥が深いですねぇ~。

以下追記:

大音量の実力を発揮してもらおうかと、宅飲みで酔っ払ってる状態で「大浪曲 清水次郎長外伝―追分三五郎 12枚組 廣澤虎造」を1枚かけてみましたら……。

素晴らしいっす!

なるほど、素面の時にはうるさく感じましたが、酔っ払って音量の許容レンジが上がっているときには丁度いいレベルです。

こういう使い分けもアリですなw