COLUMBIA No.460 コロムビア卓上型蓄音機のオーバーホール

2019年5月4日

蓄音機いじりの習得に向けて、とりあえず入手したコロムビアNo.460ですが、いろいろとポンコツ感あふるる個体でありまして結構てこずっておりますが、それはそれで楽んでおります。

今回は、蓄音機の駆動部である撥条モーターのオーバーホールです。

灯油で洗浄するのですが匂いが大変ですので、玄関前での屋外作業になります。

洗浄前の外観

ターンテーブルを外し、モーターボードにモーターを固定してる3本のネジを外すと、駆動部が取り出せます。機械は2丁ゼンマイの75型です。

機械の振動がモーターボードに伝わらないよう、ボードと機械の間にゴムワッシャーがあるのですが、経年劣化でつぶれておりますし弾力もありません。これは元通りに本体に納めるときに削り落としたうえで、新しいゴムワッシャーを装着します。

ガバナー側から見たところ。極端に汚れているわけではありませんが、機械から発するキュルキュル音はガバナーあたりかなと疑っております。

クランク側から見たところ。動作に影響はないのですが、ラチェットあたりに汚れがたまってます。

2番車側から見たところ。

香箱側から見たところ。販売当時のスペック通りの2丁ゼンマイなのですが、純正なのかどうかは不明です。

機械下部の軸受け側から見たところ。シミ汚れはありますが、特に異常は見られません。

開けてびっくり何とやら……

大きめのお菓子の缶に灯油を注いでおいて、機械を分解しながら浸していったのですが、いざ動力の源である香箱に手をかけ開けてみましたら、予想外のものがありました。

2丁ゼンマイの中仕切りを保持しつつ、片側のギア(巻き上げ軸)を外したら、なぜかゼンマイの中心がズレている様子。「なんでだろう?」と思いつつ香箱の中を確認したら……。

ん??

あらぁ……、ゼンマイ切れの補修跡がありましたわい。それも、なんか雑なつなぎ方されてるから、中心がズレてるわけですね。

「古い機械だからねぇ~、2丁のうち1丁は切れてても仕方ないか」と気を取り直し、もう一つの香箱も開けてみると……。

Oh no!「こっちもかい……」

なんかモチベーションが一気に下がりましたよ。

2丁ゼンマイなりの巻き数は生きており、長時間駆動はできるのですが、時々ゼンマイのほどけ方にムラがあるのが気になっていたのです。

たぶんグリスの固着なのだろうと予想し、今回のオーバーホールで解消できればと思ってましたが、汚れはあったものの固着はなかったので、ゼンマイの動きムラは補修による偏芯もあるのかもしれませんね。

それにしても、2丁ゼンマイの2丁切れ跡とはねぇ~。

♪洗浄は続くよ

モチベーションだだ下がりではありましたが、せっかくバラしましたので、念入りとはいかないですが各パーツの灯油洗浄を行いました。

ある程度灯油をふき取り、しばし乾かします。

灯油に浸しながら、ブラシで大まかに汚れを落としただけですので、ピカピカにはなっておりません。でも、駆動に影響がありそうな軸受けや歯車の歯については丁寧にブラシをかけたつもりです。

それにしても、こんな補修ってアリなんでしょうか?どうせ直すなら、もう少し丁寧に仕上げてほしいもんです。

ガバナー回りですが、ウォームギヤの溝がだいぶ綺麗になりました。ガバナーの重りの方は、最終的なガバナーの取り付け調整をするので、その直前に改めて分解清掃します。

あまり綺麗には見えないかもしれませんが、歯車の欠けもないですし、固着した汚れもない状態になりました。

2丁ゼンマイの各中心部分です。この程度の引っ掛かりで強力なゼンマイを巻きあげられるんですね。不思議なもんです。

いびつな形状のゼンマイではありますが、汚れはだいぶ落ちましたので、この後グリスアップして元に戻しました。

洗浄後の軸受け上部です。劣化した緩衝用のゴムワッシャーは、本体組み込みで新品ワッシャー装着時に削ろうと思ってましたが、ぽろぽろと小さく剥がれ落ちて機械を汚しますので、この後大まかに削り落としておきました。

以上、今回は2丁ゼンマイが想定外の状態で驚きましたが、再組立て後の動きではムラが幾分マシになった気もしますし、ガバナー回りの動作音も静かになったので、やった甲斐はあったのだろうと思います。

やってみて、細々学んだ事も身になりましたので、次回はもっと上手にやれるようになることでしょう。


以下、その後のレストアについて追記:

その後

一旦は入手時状態での洗浄のみでオーバーホールを終えるしかなかったのですが、やはり雑な補修がなされたゼンマイからの駆動ノイズがあるため、どうしても気になってしまい気持ちよくありません。

そこで、ジャンクのコロムビア機を入手してゼンマイ交換することにしました。

オークションでジャンク機体を探し入手したのは、ボロボロのNo.202(ポータブル)と筐体の無いボロい中身だけのNo.104(卓上型)です。どちらもゼンマイは生きており、他にも使えそうなパーツがあったので「まぁまぁなジャンク?」でした。

早速、ダメ補修のため調子の悪いゼンマイを取り出します。

香箱を地面に押さえつけつつ、ゼンマイの中心部をブラシの柄でひっかけて一部取り出し、反時計回りに香箱を回転させながら少しずつゼンマイを取り外していくのですが、ゼンマイが弾け出さないように押さえながら慎重にやらなくてはいけないので、結構大変な作業です。

最後の一周分くらいの状態になったら、一旦ほどく手を止めて、香箱のフック部分とゼンマイ末端の引っ掛かり部分を外すべく、香箱を固定したままゼンマイを押し込み、フックとの引っ掛かりを外してから最後の一周分をほどけば、スムーズに取り出せます。(こうしないと香箱外に出たゼンマイの力で終端部が傾きフックからの取り外しが困難になる)

一つ目の近景です。(何度見てもひどい補修の仕方ですな……)

一つ目の全景です。

二つ目の近景です。

二つ目の全景です。

No.104の金属ホーンを枕に、不良ゼンマイそろい踏み。

改めて香箱を灯油で洗浄し、丁寧に拭いて乾燥させました。

No.202とNo.104から、それぞれ取り出したゼンマイを香箱に納めました。

ほどく時とは逆に、最初にゼンマイ末端の穴がフック位置にかぶるように、ゼンマイ外周の一周分くらいを香箱に滑り込ませてから、香箱を押さえつつ香箱に沿ってゼンマイを反時計回りに回してフックに咬ませます。

あとは香箱を時計回りに回転させながら、少しずつゼンマイを香箱内に納めていきます。香箱内に納めたときに隙間なく詰まって見える部分は、弾けないように押さえつけながら少しずつ納めていく必要があるのですが、中心部の隙間のある部分はあっけなく丸ごとカポっと納まります。

これで、無傷の2丁ゼンマイが中心軸のずれもなく揃いました。

香箱に納める前段でゼンマイをグリスアップしておいたのですが、軍手で力いっぱい掴みながら押し込んでいきましたので、ある程度グリスが薄くなってしまってるでしょうから、組み立て前にもまた香箱内にリチウムグリスを塗り込んでおきました。

2丁分のゼンマイをほどいて、更に香箱に2丁納めるのを一度にやったので、かなり疲れる作業でしたよ……。

仕上がりの調子

改めて撥条モーターを組み立てまして調子を見てみると、ゼンマイの交換前は巻き数80回くらいでいっぱいだったのが110回まで伸びましたので、2丁ゼンマイのフルスペックに仕上げることができたと思います。

組みなおしてすぐの状態では、少し香箱内でのゼンマイ滑りがシュルシュル聞こえるときがあったのですが、何度か巻きほどきを繰り返していくにつれ滑り音が減っていきますので、いずれ十分にグリスが回れば巻き上げの音もなくなると思います。

そして回転駆動時の全体のノイズですが、ほぼ無くなったと言っていいレベルの仕上がりです。ゼンマイ交換の効果は思った以上で、管理人ホシガメが所有する蓄音機の中で一番静かに長く動く機体になりました。

これで、おおよそ正常稼働する蓄音機が、No.110A(初めて入手した機体)・No.115(以前所有し手放したが最近また入手した機体)・No.460(今回レストアの機体)の3台となりました。

今後も各所有機をメンテナンスしたり改造したりしながら、機械いじりを楽しんでいきたいと思います。

それにしても、入手したNo.460が想定以上にポンコツだったおかげで、ダイヤフラムの自作やらゼンマイ交換やら、一気にディープな世界を味わいつつ、それなりにメンテナンススキルが身に付きましたので、オークションで「ハズレ」を引くのも面白いもんで結果オーライです。

なんか変に自信がついてしまったので、「ジャンクあさり沼」にハマっていきそうな予感がします……。