ニッチクNo.MG260-Aもハイブリッド電蓄の夢を見るか?

2019年6月23日

蓄音機のレストア遊びにも多少は慣れてきたので、コロムビア機の予備パーツをもう少し揃えておこうか思いまして、ニッチク(戦時中にコロムビアが改称していた時期のブランド名)のポータブル機を入手したのですが……。

ゼンマイの予備目的で考えてたもののの、想定以上にチープな戦時仕様になってまして、残念ながらゼンマイの抜き取りには使えないことが分かりましたので、まずはその顛末です。

ニッチクNo.MG260-Aの内部概観

上蓋を開けての見た目は、ターンテーブルの粗末さ以外はそれなりの作りで、通常のコロムビア機と大差無いように見えました。

戦時下での敵性語禁止に対応し、レコードのレーベルも蓄音機のブランド名もコロムビアからニッチクに改められてますが、音符のマークにコロムビアらしさが引き継がれてます。

このデザインは、シンプルながらも悪くないブランドロゴにまとまってると思いますので、これはこれでアリな気がします。

上蓋を開けて固定するステーは、コロムビア表記のポータブル機に劣らずしっかりしています。

特徴的なのがコレ!

金属プレートで、「日本蓄音器株式会社 栃木県 真岡工場」とあります。管理人ホシガメはこういう古風な銘板がわりと好きなので、お気に入りのポイントです。

ポータブル機によくある上蓋のレコード収納は、オーソドックスな作りのモノです。

ゼンマイを巻くためのクランク挿入口周りの加工が、少しチープに見えます。持ち手はしっかりしており革も硬化しておらず、片手での持ち運びに問題の無い実用レベルです。

サウンドボックスが無い状態で入手したので、純正のサウンドボックスは不明です。アームの嵌合部はNo.9よりも少し細い感じでしたので、養生テープを半周貼ってみましたら、丁度良くNo.9を固定できるようです。

ニッチクNo.MG260-Aのケース概観

上蓋開放のボタンとスライド式の針入れがありまして、ポータブル蓄音機によくある作りとなっています。

機体後部の蝶番はサビサビですが、機能は維持できておりガタは無い状態です。

クロコ柄の型押し外装は、角の部分に破れやヒビが目立つ状態でした。

ニッチクNo.MG260-Aの機構概観

ポータブル機によくあるスピンドル部のターンテーブル固定バネは、入手時には無かったので、別のコロムビア機から移植しました。(これが無いと、持ち運び時にターンテーブルが外れてしまう可能性がある)

ターンテーブルを外した状態です。スピード調整、オートストップなどの各機能は正常に動作します。

ターンテーブルの裏面です。戦時中の物資不足の影響か?通常のコロムビア機と違って簡素な作りです。外周部の折り返しがなく切りっぱなしの作りですので、ターンテーブル表面の生地として薄いフェルトっぽいのを貼り付けただけの状態です。

ホーンがトタンですよ……。

そして香箱の作りが、メンテナンスを考慮していない?はめ殺しみたいな構造で、これではゼンマイの取り出しがかなり困難です。

見えないところでコストダウンを図った感じがアリアリで、駆動部の各パーツや軸受け板も大分簡素になってます。でも物資不足の時期にこのような工夫をして、蓄音機を製造し続けたことには感心しますね。

因みに、チープなホーンの割には音量も十分に出ており、ポータブル機としては合格レベルの鳴り方だとおもいます。

本体の底板にある数本の細い溝は、どういう効果があるんでしょうね?音響的な狙いがあるように思えますが……。

~とまぁ、残念ながら通常のコロムビア機とはパーツの互換性が無いことが分かりましたので、部品取りとしての活用は諦めました。

しからば別の活用をと思いついたのが、ハイブリッド蓄音機の専用機として改造する事です。

ニッチクNo.MG260-Aにハイブリッド電蓄の夢を見させる!

おもむろにモーターボードにキリで穴を開け、裏から彫刻刀でガリガリと掘って納めたパーツは……。

右上に見えるアンプユニットです。

モーターボード表面のスペースを考慮し、ギリギリ設置可能な箇所に固定しました。

表面からは、アンプユニットのボリュームだけが突き出し見える状態になります。

ボードを固定するビスと干渉しそうな微妙な位置ですが、辛うじて干渉しないように調整できる範囲です。

このクラシカルなデザインがいい感じ!

ボリュームつまみを装着したところです。

アームのサウンドボックス嵌合部には、No.9用の切り欠きはなく直径も細いので、取り合えず養生テープで調整して固定できるようにしましたが、水道管用のシールテープを使った方がもっと綺麗に安定して固定できる気がします。

これで、スマホやPCからニッチクNo.MG260-Aに音声出力ができる状態になりました。

見た目を賑やかにしてみました

ケース外観がみすぼらしいので、ボロ隠しも兼ねてお化粧してみます。

木工用ボンドは水で薄めて糊に使います。貼り付けるのは廣澤虎造先生関連の画像をプリントしたものです。

レコード収納部に、モノクロのスチール写真を2枚貼りました。

内側は使用時にいつも目に触れるところなので、あまり派手にならないよう、この程度でいいバランスだと思います。

上蓋の表面は、特に角のボロ隠しを意図し、側面に斜めに張り出すように貼り付けました。かなり派手になってしまいましたが、おおむね満足な仕上がりです。

持ち手のある方から見ると、ボロが隠しきれてませんね……w

最後の仕上げで音調整

コロムビアNo.460は卓上型だったので、蓋を閉めれば逆相の音(No.9改に仕込んだスピーカー裏面から出る音)を気にしなくてよかったのですが、ニッチクNo.MG260-Aはポータブルですので使用時に蓋は閉められませんから、逆相の音を処理する工夫が必要になりました。

No.9の直径サイズを考慮していろいろ思案した結果、タンブラー用底カバーが使えそうだと思いつき、早速取り寄せました。

カラーバリエーションを楽しめるように、4色そろてみました。

本来はこの方向からタンブラーを差し込むもので、ぷにゃぷにゃのシリコン製です。

取り合えず水色のモノを装着した状態です。サイズ感的には丁度いいテンションでNo.9に被せることが出来てます。そして肝心の逆相音の抑えですが、密閉されてない割には上手く逆相音が気にならない範囲におさまりました。

見た目も悪くないですし、緩衝のカバーとしても機能しますし、狙った音調整効果も得られましたし、非常に満足な仕上がりとなりました。

ニッチクNo.MG260-Aは小ぶりなので、リビングに置いておいても邪魔にならず、PC経由でSP復刻CDを再生したりYoutubeにある蓄音機再生動画を流したり、かなり使い勝手のいいデバイスになりました。

めでたし、めでたし。

以下追記:

せっかくのポータブル機なので、改めて電源をACアダプタだけでなく電池でも駆動できるように、パーツを追加しました。

単三電池3本用の電池ボックスです。1.5V×3本で4.5V駆動させます。(アンプユニットは定格5Vなので、ACアダプタは5V設定にしてましたが、定格以下でも動きます)

上蓋を閉められる位置でもあり配線も最短で可能な、裏蓋内側の左下隅に電池ボックスをビス止めしました。

電池を入れてからPCとの接続ケーブルを繋ぎ、アンプユニットのボリューム(スイッチ機能付き)を回したところ、ACアダプタ駆動と変わりなく十分な音量で鳴ることが確認できました。

これで、コンセントが無い環境でも、ハイブリッド電蓄を楽しむことが出来るようになりました!

お次は、サウンドボックスの嵌合調整です。

取り合えず養生テープを使ってた状態を改善するため、配管用のシールテープを用意しました。

サウンドボックスNo.9の嵌合部とアームの隙間を調整するため、アーム側にシールテープを3~4周巻きます。

あとはサウンドボックス部をゆっくり回しながら押し込んで完成です。想定通りに隙間なくしっくりと納めることができました。

これでハイブリッド電蓄への改造も仕上がりですので、あとはPCやらスマホからのアウトプットでSP盤音源のソースを気軽に楽しむだけです。

このように、一見使い道のなさそうなジャンクでも、簡単な改造で便利なデバイスに生まれ変わることがありますから、益々ガラクタいじりが止められなくなるのであります……。