コロムビアのサウンドボックス No.9を分解したら……

2019年4月29日

蓄音機のオーバーホールや故障修理に着手しようと思い、情報収集しているところなのですが、手持ちで正常動作している蓄音機をいきなりバラすのも気が引けるので、オークションで手ごろな卓上型を入手しました。

入手した機種はコロムビアのNo.460(MODEL-NO.460 colombia Viva-tonal Grafonola)です。主な特徴としては、昭和っぽいグリルデザイン・サウンドボックスがNo.9・2丁ゼンマイ・木製ホーンといったところです。

一応動作しますし音も出るのですが……

  • フロントグリルの意匠部分の一部が欠損している
  • 上蓋の蝶番が一部ぐらついており、本体と蓋が1㎜程ずれている
  • 上蓋保持のステーが純正じゃなくチープなつっかえ棒
  • ゼンマイを巻くクランクを回すと筐体との接触で異音あり
  • オートストッパーのスピンドルカムが無くなってる
  • 油切れか?キュルキュルと高音の機械ノイズが出る
  • サウンドボックスの振動板が純正じゃないし、高音部でビビる

とまぁ、いろいろと残念なところが多く……、でもオーバーホールの練習台には丁度よかったのかもしれません。

因みに、手持ちのNo.9に付け替えてみたところ、いい音を鳴らしてくれましたので、ホーン部分には問題なさそうです。

本体部のオーバーホールについては、別の機会にて詳細をまとめたいと思いますので、今回はサウンドボックスの分解と顛末に特化します。

COLUMBIA No.9 PAT.No.114413の刻印

パッと見では、それなりの経年劣化の範囲で、いい雰囲気にも見えるのですが……。

手持ちのNo.9と違うダイヤフラム?

サウンドボックスの表側シェル部分の色落ちなどは、手持ちの塗装落ちのないものよりも、いい感じに使用感が表れてて古色の自然さが好きなんですけれど、その奥のダイヤフラムが純正じゃないようですし、カンチレバーに繋がるドーム部も凹ついていて怪しいですね。

カンチレバーの接合部

アーム嵌合部側から中をのぞいたところ。接着剤がたっぷり塗ってあります。いくらなんでも盛りすぎじゃないでしょうか? そして、接着剤の右際あたりに破損もありました。

表側にも接着剤がたっぷり。これまた大盛りで塗り固めた感じです。ますます怪しいですね。

その他各部の状態

裏蓋を止めるネジが4か所あるのですが、2か所しかネジが無いようです。

画像ではわかりにくいですが、ネジが足りないのではなくて、ネジの頭がねじ切れてネジ穴が埋まったままになってたんですね。これがビビりの原因だとしたら、別のジャンクNo.9とニコイチするしかないですね。

サウンドボックス裏蓋を固定するには心もとない、2本だけのネジ。せめて対角線上を固定できればよかったのですが……。

針取り付け口側から、カンチレバー下のガイドネジです。

ダイヤフラム側にある、カンチレバー下のガイドネジです。レコードの音溝トレース中に触れない程度に調整します。あまりスペースを空けすぎると、針交換時などにカンチレバーが過度に動いてしまい、ダイヤフラムを破損させる可能性があるようですので、制限域を狭める必要があります。

ネジの頭は六角なのでドライバーが使えず、指で摘まんではずしました。幸い固着などなくスムーズに回りました。

ネジ穴が綺麗なので、接着剤などでネジ止めしない箇所なんでしょうね。

サウンドボックス裏側のアーム嵌合部を横から見たところ。埃だらけですが、奥にゴムパーツがありダンパー機能を担っているようです。

カンチレバーの固定調整ネジなんですが、片方が破損してます。

針の取り付け口には問題ありません。

修理するつもりで分解開始

2か所しかきいていないネジを緩め、取り外した裏蓋です。

ガスケットがカッサカサに固まって、プリッツみたいになってました。

このガスケットは固着もなく、簡単に取り外せました。

問題は、カンチレバーとダイヤフラムを固定するネジの上に、過剰に塗り固められている接着剤をはがすことです。はがし液を染み込ませた綿棒で溶かしていきます。

結構苦労して、やっとのことでネジを外すことができました。

ネジを外した後も残った接着剤を溶かしていたら、ネジ頭と同径くらいの小さい金属ワッシャーらしきものと、ネジ頭より一回り大きいくらいの紙製?ワッシャーらしきものが、カンチレバーのネジ受け口から剥がれてきました。

よく見ると、金属のほうはワッシャーではなく、ダイヤフラムがネジで挟まれていた部分が、ネジ頭と同一の形にちぎれてしまったもののようです。金属疲労でそうなったのか不明ですが、いずれにしても以前のオーナーがその暫定対処として接着剤で塗り固めてたのでしょうね……。(紙っぽい方はワッシャーなんだと思いますが、破れてましたし必要なら自作すればいいので捨てました)

ここまでの作業で、カンチレバーを固定するためのダイヤフラム中央は破損して径が大きくなっており、修復不可能だとわかりましたので、このダイヤフラムはあきらめることにしました。

残骸の有効活用に向けて

塗料の溶解作業も面倒になり、カンチレバーを損傷しないように気を付けつつ、ダイヤフラムを引きはがしました。

シェル側にあったガスケットもプリッツ状態でしたが、こちらは意外にシェルに固着している部分もあったりしたので、ドライバーを使ってはがしました。

ガスケットの断面を見ると、元々は弾力のあるチューブだったと思われます。同程度の細いゴムチューブが代用に使えそうです。

アーム側に繋がるダンパー部分を外した状態です。

ダンパー部のアーム嵌合部側、ダンパー素材のゴムとかみ合ってるるプレートを外した状態です。

ダンパー素材のゴムにはスリットがあり、そのスリットに内周部分が挟まれる形になるプレートです。

プレートを外した後のダンパー素材です。溝が切られておりプレートを挟む仕組みになってます。このゴム素材も劣化しており弾力が失われてますが、代用部品を見つけるための参考にするため、今回はそのまま手を付けずに置きました。

カンチレバーを両側から抑えるネジを外したところ。片方のマイナスドライバー差し込み部が破損してますが、ネジと六角ボルトが固着してるのでミニスパナで簡単に外せました。

カンチレバーが通称「とんぼ」と呼ばれるのが、わかる姿になりました。

抑えネジを受けるベアリング部分は、グリスが固まってます。下手に掃除するとベアリンを無くしそうなので、今回は固着させたままCRC556をさしておき、元通りに仮組みして保存しておきます。

以上、直すつもりが壊しただけになってしまいましたが、どのみち再生不可能な問題が内在してたわけですし、サウンドボックスNo.9の構造を把握するいい機会にもなりました。

今後、ダイヤフラム・ガスケット・ダンパーの各代用部品を準備して、再生にチャレンジしたいと思います。